決勝はすごく興奮する試合展開でした!
優勝したアルゼンチン代表、おめでとう!
負けたけどフランス代表のエムバペはハットトリック!すごい!
2022年W杯カタール大会の開催を記念したAGLETの『WORLD CUP 2022 MOMENTS』コレクションのドロップ。大会や選手などにインスパイアされたスパイクが登場しています。
これらスパイクに付けられた名前の由来や、元ネタとなった歴史的な出来事や背景などを紹介しながら、「スポーツの歴史の中で印象的な瞬間」を振り返っていきたいと思います。
第8回は『LACELESS CLEAT ‘DOS A CERO’』です。
【AGLET】LACELESS CLEAT ‘DOS A CERO’
TIER | 5 |
EARN RATE | 10 |
MAX BOOST RATE | 160 |
DURABLITY | 22 |
REPAIRS REMAINING | 1 |
スパイクのデザインの元ネタにもなった「アメリカとメキシコのライバル関係」についてご紹介します。
開催大会 | 2002年 日韓大会 |
---|---|
主要人物 | ・アメリカ代表(ベスト8) ・メキシコ代表(ベスト16) |
何が起きた? | 決勝ラウンド16では、長年のライバル関係にあったアメリカ代表とメキシコ代表が激突。「2-0」(Dos a Cero)のスコアでアメリカが勝利。 |
アメリカ代表の大会成績 | ベスト8 |
スパイクの名前の由来 | スペイン語で「2-0」の意味。 |
「Dos a Cero」はスペイン語(メキシコで公用語)で「2-0」のスコアを表す言葉です。
まずはアメリカとメキシコのライバル関係について解説していきます。
【W杯】アメリカ代表・メキシコ代表の成績
まず、日韓大会までの両国のW杯成績を見ていきましょう。
開催年・開催国 | アメリカ | メキシコ |
---|---|---|
1930年ウルグアイ大会(13) | ベスト4 | グループリーグ敗退 |
1934年イタリア大会(16) | ベスト16 | 出場なし |
1950年ブラジル大会(13) | グループリーグ敗退 | グループリーグ敗退 |
1954年スイス大会(16) | 出場なし | グループリーグ敗退 |
1958年スウェーデン大会(16) | 出場なし | グループリーグ敗退 |
1962年チリ大会(16) | 出場なし | グループリーグ敗退 |
1966年イングランド大会(16) | 出場なし | グループリーグ敗退 |
1970年メキシコ大会(16) | 出場なし | ベスト8(開催国枠) |
1978年アルゼンチン大会(16) | 出場なし | グループリーグ敗退 |
1986年メキシコ大会(24) | 出場なし | ベスト8(開催国枠) |
1990年イタリア大会(24) | グループリーグ敗退 | 出場なし |
1994年アメリカ大会(24) | ベスト16(開催国枠) | ベスト16 |
1998年フランス大会(32) | グループリーグ敗退 | ベスト16 |
2002年日韓大会(32) | ベスト8 | ベスト16 |
W杯本大会出場回数 | 7回 | 12回 |
最高順位 | ベスト4 | ベスト8 |
W杯本大会への出場回数(開催国枠での出場を含む)を見てみると、メキシコが12回、アメリカが7回で、メキシコの方が多く出場できています。(2022年現在はメキシコ:17回、アメリカ:11回。)
最高順位を見てみるとアメリカはベスト4、メキシコはベスト8となっており、アメリカの方が良い成績となっています。とはいえ、アメリカが最高順位を残したW杯初開催の1930年ウルグアイ大会は出場国が13と少なく、グループリーグを通過した時点でベスト4が決まる大会でした。
また、1934年イタリア大会においてはグループリーグによる予選がなく、出場=ベスト16(現行の決勝ラウンド16の状況)でした。つまりアメリカは1勝もできていないのにベスト16ということになります。
さらにメキシコにおいては、ベスト8に進出した1970年大会・1986年大会は自国開催のアドバンテージがありました。
ということは、アメリカもメキシコもどっちもどっち?
でも、W杯本大会への出場を多く果たしているメキシコの方が力関係では上なのかな?
とはいえ、W杯本大会へ出場できなければ成績も何もありませんから、出場回数が多いメキシコの方が優勢と言えます。
【W杯地区予選】出場までの道のり
W杯を主催するFIFAは、世界の6つのサッカー連盟により組織されています。
アメリカとメキシコは、同じ北中米カリブ海サッカー連盟(Concacaf)に加盟しています。
Concacaf はさらに地域ごとに分けられた3つの連合から成り立っています。
- 北米サッカー連合(NAFU)
- 中米サッカー連合(UNCAF)
- カリブ海サッカー連合(CFU)
ここでも両国ともに北米サッカー連合(NAFU)に所属しており、W杯本大会への出場を争う関係にあるのです。
W杯本大会に出場できるのは32カ国と定められており、各地区のサッカー連盟に出場枠が割り当てられます。世界各国の代表チームはW杯本大会に出場するため、地区予選を勝ち抜かなければなりません。(2026年大会より出場国は48カ国に拡大される予定。)
日韓大会における各地区のサッカー連盟ごとの出場枠は以下の通りです。
- UEFA:1カ国+13.5カ国
- AFC:2カ国+2.5カ国
- Concacaf:3カ国
- CONMEBOL:4.5カ国
- CAF:5カ国
- OFC:0.5カ国
※「UEFA」の1カ国は前回優勝国枠での出場となるフランス、「AFC」の2カ国は開催国枠での出場となる日本・韓国の両国。
1に満たない0.5カ国とは、「大陸間プレーオフ」を予定して割り振られた数字です。
日韓大会では、アイルランド(UEFA)対イラン(AFC)、ウルグアイ(CONMEBOL)対オーストラリア(AFC)の組み合わせでホーム&アウェイで2戦が行われ、アイルランドとウルグアイが本大会への出場を果たしました。
今大会まで、前回大会の優勝国には出場枠が設けられていましたが、2006年ドイツ大会から「前回大会優勝国の出場枠」は廃止されました。
アメリカ・メキシコのライバル関係
先ほど解説した通り、アメリカとメキシコは同じサッカー連盟(Concacaf)、同じサッカー連合(NAFU)に属しており、W杯本大会出場に向けては地区予選を争う最大のライバルといえる関係なのです。
先ほども取り上げましたが、W杯本大会への出場回数ではメキシコ:12回、アメリカ:7回で、地域予選での成績も含め、メキシコに軍配が上がります。
両国の対戦は「北米ダービー」とも呼ばれ、熾烈な争いが繰り広げられます。
アメリカとメキシコが対戦する機会は、以下のような大会があります。
W杯本大会への出場をかけた地区予選となる『FIFA W杯・北中米カリブ海予選』や、2年に一度(奇数年)開催される『Concacaf ゴールドカップ』、ユース代表戦では、U-17の代表戦とU-20の代表戦があります。
また、CONMEBOL(南米サッカー連盟)開催で招待制での出場となる『コパ・アメリカ』、クラブチームの対抗戦も含めると『Concacaf チャンピオンズリーグ』などがあります。
【W杯2002年日韓大会】アメリカ・メキシコ
グループリーグ
話は戻って、2002年日韓大会です。両国のグループリーグから振り返っていきたいと思います。
大会直前(2002年5月時点)のFIFAランク13位のアメリカは、韓国(40位)、ポルトガル(5位)、ポーランド(38位)と同組(グループD)となります。
1勝1敗1引分けという成績で、韓国に次ぐグループ2位で決勝ラウンドに進みました。
(ポルトガルがまさかのグループリーグ敗退!)
一方のメキシコ(7位)は、イタリア(6位)、エクアドル(36位)、クロアチア(21位)と同組(グループG)でした。
2勝1引分けという好成績で、グループリーグを1位通過。メキシコも決勝ラウンドへ進みました。
決勝ラウンド16 アメリカ 対 メキシコ
アメリカ・メキシコ両国によるW杯での初めての直接対決は、6月17日に韓国全州市・全州ワールドカップ競技場で行われました。
両国の因縁の関係を反映して、バッチバチにやり合ってます。
この一戦が行われるまで、アメリカはアウェー(メキシコ国内)での試合で勝利したことがなかったことなども含めて、試合の前評判では、大方メキシコの勝利が予想されていました。
この時メキシコ側の監督を務めていたのは、のちに日本代表監督(2014年7月~2015年2月まで)として指揮を執ることになるハビエル・アギーレ(本人も選手としてメキシコ代表の経験あり)でした。
当時のメキシコ代表は、大会後にバルセロナでプレーすることとなるラファエル・マルケスがキャプテンを務め、前回大会でメキシコのベスト16に貢献したクアウテモク・ブランコや、W杯地区予選のトリニダード・トバゴ戦でハットトリックを達成し、イタリア戦でも先制ゴールを決めたハレド・ボルヘッティなど、有力選手を擁していました。
一方のアメリカ代表は、アメリカ国外のクラブチームに在籍する選手はいるものの、ほとんどが国内リーグの選手でした。(ビッグクラブは0)
アメリカというと、野球・アメリカンフットボール・バスケットボール・アイスホッケーが「北米4大スポーツ」として有名です。アメリカでサッカーはマイナースポーツのイメージがあります。
試合は8分にアメリカ代表のブライアン・マクブライドが先制点を挙げて前半を折り返します。後半にも65分にランドン・ドノバンが追加点。メキシコを無得点のまま下します。(Dos a Cero!)
この試合のスコアを表した「Dos a Cero」(2-0)は、アメリカがメキシコを破ったことで、両国にとって特別な意味合いを持つようになり、両国の関係に変化が訪れます。
【W杯2002年日韓大会】以降のアメリカ・メキシコ
日韓大会以降、アメリカはメキシコに勝利することが増えていくのですが、W杯予選や親善試合などを含めて、2-0で勝利する試合が増えていき、「Dos a Cero」は両国(特にアメリカ)にとって、象徴的なフレーズとなります。
アメリカがメキシコ相手に2-0のスコアで勝利した試合をまとめました。
アメリカがメキシコに初めて2-0のスコアで勝利したのが日韓大会のW杯地区予選があった2001年の試合でした。W杯決勝ラウンド16の前から、「Dos a Cero」(2-0)のストーリーは始まっていたのです。
政治的な対立もある両国の関係だけに、スポーツマンシップを忘れずに、良きライバルとしてがんばってほしいです。